Windowsやmacのドライバでは抜き差しせずとも使えるということは、なんらかの方法でこの2つのモードの切り替えができるはずだ。機能の切り替え、はデバイス毎の特有の操作なので一般的な方法は存在しない。USBのバスアナライザとかがあれば、windowsのドライバの挙動などを観察して切り替えるための魔法の言葉を見つけることもできるのだが、休日に家で作業をしていたので手元にそんな便利なものはなかった。
というわけでいろいろと試行錯誤してみることにする。
- 試行1:D02HW(E220)のファームウェアの立ち上がりが遅くてうまく処理ができていないのでは無いかと思って、attachルーチンのあちこちにdelayを入れてみる。あちこちにusbd_delay_ms(dev, 500); などと書いてみて、挙動がどう変わるか地道な作業をがんばる(2時間くらい)。
/* Find the endpoints */
usbd_delay_ms(dev, 2000);
id = usbd_get_interface_descriptor(sc->sc_iface);
sc->sc_iface_number = id->bInterfaceNumber;
あたりに2000msくらいのdelayをいれると、認識しない→差し直すと認識→次に刺し直すと認識しない→また差し直すと認識、と安定してツンとデレを繰り返すようになった。しかしディレイを入れるだけではどうもこれ以上は進まないようだ。次の方法を考えないといけない、ネットワークで識者(USBシリアルの偉い人)と相談するととりあえずVENDORリクエストなどで適当な値をおくってデバイスをつつくかくすぐるかしてやるのがいい、と助言をうけた。設計している人も人の子なので別に難しい値ではなく0とか1とか2とかそんな値を送ると動き出すことがあるらしい。
というわけで、sys/dev/usb/uplcom.cを参考にして実験用にubsa_reset()という関数をでっちあげてみた。
static usbd_status
ubsa_reset(struct ubsa_softc *sc)
{
usb_device_request_t req;
usbd_status err;
#define UBSA_SET_REQUEST 0x1
req.bmRequestType = UT_WRITE_VENDOR_DEVICE;
req.bRequest = UBSA_SET_REQUEST;
USETW(req.wValue, 0);
USETW(req.wIndex, sc->sc_iface_number);
USETW(req.wLength, 0);
err = usbd_do_request(sc->sc_udev, &req, 0);
if (err) {
printf("%s: send reset fail\n", __func__);
return (EIO);
}
return (0);
}
- 試行2: ubsa_reset()関数をattachの適当な場所においてみて挙動を見る。が、デバイスからお断りのエラーが返ってくるのでどうもうまくいかないらしい。
- 試行3: bmRequestType を UT_WRITE_DEVICEにしてbRequest = UR_SET_FEATUREにしてやってみることにする。これはUSBの標準機能なので失敗することはないはず。コードは適当に改変する。
あとはコードをまとめるだけだが、最終的には、
/*
* Hauwei E220 needs special request to enable modem function
* XXX: is there more smart methods?
*/
Static usbd_status
ubsa_e220_modechange_request(struct ubsa_softc *sc)
{
#define UBSA_E220_MODE_CHANGE_REQUEST 0x2
usb_device_request_t req;
usbd_status err;
req.bmRequestType = UT_WRITE_DEVICE;
req.bRequest = UR_SET_FEATURE;
USETW(req.wValue, 0x1);
USETW(req.wIndex, UBSA_E220_MODE_CHANGE_REQUEST);
USETW(req.wLength, 0);
DPRINTF(("%s: send e220 mode change request\n", __func__));
err = usbd_do_request(sc->sc_udev, &req, 0);
if (err) {
DPRINTF(("%s: E220 mode change fail\n", __func__));
return (EIO);
}
return (0);
#undef UBSA_E220_MODE_CHANGE_REQUEST
}
みたいな呼び出しをUBSA_ATTACH()の中で
/* Find the endpoints */
/* Hauwei E220 need special request to change its mode to modem */
if (sc->sc_devtype_e220) {
err = ubsa_e220_modechange_request(sc);
if (err) {
printf("%s: failed to change mode: %s\n",
devname, usbd_errstr(err));
sc->sc_dying = 1;
goto error;
}
}
id = usbd_get_interface_descriptor(sc->sc_iface);
sc->sc_iface_number = id->bInterfaceNumber;
こんなふうに呼び出す実装にしてみた。このカーネルでは、
ubsa0 at uhub0 port 2
ubsa0: HUAWEI Technologies HUAWEI Mobile, rev 1.10/0.00, addr 2
ubsa0: HUAWEI E220 need to re-attach to enable modem function
ubsa0: at uhub0 port 2 (addr 2) disconnected
ubsa0 detached
ubsa0 at uhub0 port 2
ubsa0: HUAWEI Technologies HUAWEI Mobile, rev 1.10/0.00, addr 2
ucom0 at ubsa0
みたいに自動的にucom0がアタッチされるようになる。いったんdettachされるのが美しいか?みたいな議論をするともめそうだけど、デバイスの仕様ってことで許してくれないかなーとコッソリ期待している。
tipでucom0につなげてみると、こんな感じにみえる。userland-PPPでemにもつながったので、たぶんこれでサポートのためのハックは完了。実はまだNetBSDのkernel ppp(pppd)の設定がうまくいかないので、設定方法を教えてくれる人も募集中。
#tip dtyU0
connected
at
OK
atI
Manufacturer: huawei
Model: D02HW
Revision: 11.005.08.00.168
IMEI: 3560600XXXXXXXX
+GCAP: +CGSM,+DS,+ES
OK
というわけで、D02HWを動かせるようになるまでに実際にどんな作業をしたかを書いてみた。この手の情報はできた後のコード解説程度が多いが、作業をした過程とか、どんな事を考えて作業したかとか、どんな失敗をしたか、って情報の方が、自分で同じような作業をするときに役に立つ気がしている。
あと、半年たつと自分でも何やったのか忘れることがあるので備忘録にもなることを期待しながら、できる限りこんな感じの作業記録をとってみたいなあーと考えている。
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