前回の続き。
一行まとめ「UD01SSの内部コンソールを取得する」話。
OKIネットワークスが出しているUD01OKの解析をしてみたところ、同じGCTセミコンダクタのGDM72XXを使っている製品なら、ほぼUD01SSと同様な構成になっているのではないかと予測を立てることができた。たぶんGCTセミコンダクタが提供するファームウェアおよびデバイスドライバのSDKがLinuxをベースとしたものになっているのだろう。ということで、今後もGDM72XXを使う製品が出るのなら今回の一連の解析も役に立つだろう、ということでよりディープなところもまとめてみたいと思う。
このエントリではUQのUD01SS(やUD01OKなどのGDM72XXベースのWimaxインターフェイス)内で動いている「Wimaxアプリケーション」の操作コンソールについて説明する。
UD01SSの内部ではLinuxが動いている、というのは(1)で 書いた。汎用OSであるLinuxをファームウェアとして利用している以上、カーネル内部だけではなくユーザランドでも何らかのアプリケーションが動いて いるのは当然だ。解析を進めている途中で、そのアプリケーションと対話的に通信していろいろな情報を取得できるようになった。右にWimaxアプリケーションのコマンド一覧(helpコマンドの出力)を載せる(長いので画面キャプチャ形式)
UD01SSの内部アプリケーション:/usr/wimax
UD01SSのユーザランドとしてWimax関連で動いているのは/usr/wimaxコマンドである。このコマンドがGDM72XXのいろいろな要素(内部の別プロセッサとかで動いているプロセスとか)と通信しながら、ホストインターフェイスを提供している。
ホストPC側にWimaxインターフェイスとしての機能をUSBバスを経由して見せているのもこのアプリケーションで、ホスト側からのコマンドはこのアプリケーションが処理している。さらに管理用の対話的コンソールも提供されている。対話的コンソールが受理するコマンド一覧を上の図に示した。使い方はまだわからないことも多いがUD01SS内部で処理しているWimax関連の機能の内部状態を見ることができるので大変便利だ。
右図の画面ダンプはparamコマンドの出力例(mac addressは隠してある)だ。paramコマンドはデバイスの設定パラメータをダンプしてくれる。Wimaxの物理層まで興味があれば役に立つこともあるかもしれない。
ヘルプ画面にあるshellコマンドは興味深い。/bin/shを立ち上げて(fork & exec)内部のlinuxに対するshellアクセスを提供してくれるはずだが、子プロセスとしてのshellはUSBバスに対する通信機構を持っていないのでこの方法でのアクセスでは使えない。大変残念だがUSB経由(wimaxアプリケーションを経由)のshell取得は原理上無理があるようだ。
Wimaxアプリケーションのコンソールでできること
できることは大体以下の通り。
- 対話的にコマンドを発行してレスポンスを受け取る。たとえば「version」「param」「dump」コマンドはいろいろな内部状態を出力する。
- 対話的にコマンドを発行して動作モードを変える。(詳細は不明)
- メモリ状態などを読み込む(詳細は不明)。発行してもハングアップしてしまう場合が多い。
- 「log on wimax」コマンドを発行すると、非同期メッセージを受け取れるようになる。たとえば、内部の状態遷移に付随して発生する様々なメッセージを受信できる。さらに「sc」「nds」コマンドでデバグメッセージを出力させることで、もっといろいろなことを教えてくれるようになる。
取得できる出力の例
2009/4月のファームウェアアップデート後のUD01SSのVersion
DM> version
version 0.3.8.0 (00030800)
DM> dump ver
FW : Rev=1.6.6.4, 2009/04/03 18:18:00 (build: 2009/04/06 16:58:33)
RF : srf72xx-081025(72050227,0), Default
CFG: PHY=0x602, SPEC=204, CPU=3, SD_AFC, UPT, DNT, ARQ2, IPC, FREQ2.5G, SAMSUNG
MAP: 2009-03-24-1613-WAVE2
ほかにも接続状況なども取得できるが、それらは今後対応した操作を説明するときに説明しようと思う。
アクセス方法(概略)
Wimaxアプリケーションのコンソールに対するアクセス方法の概略を載せておく。詳細はGDM72XX系のコマンド体系をまとめるときに補足する。
GDM72XXのコマンドは、大体
- 2バイトのヘッダ(Command/Response Type)
- 2バイトのペイロード長(データ部分だけ。ヘッダ部分は含まない)
- データ
コンソールに対するデータ送信は、Type:0x030cで、送信したい文字列に"\n\0"文字をつけてデータとして送信する。
受信は非同期メッセージを扱う場合はちょっと複雑だが、普段はType:0x830dのデータの9バイト目から文字列として扱えばよい。継続行がある場合は文字列の最後が非NULL文字になるので、文字列の最後がNULL文字になるまで繰り返し読み込めば複数行のレスポンスも取得できる。
いまはとりあえずopenbsdのugenで書いたユーザランドアプリケーションで実験をしている。プログラムの長さで3-4KBくらい。もしUD01SSとかで遊びたい人がいたら適当に声をかけてほしい(一人だと飽きそう)。
次回
次回のエントリでは、GDM72XXのコマンド体系について説明しようとおもう。認証部分はそのあとになる予定。
1 件のコメント:
解析情報の公開参考になります。ちょうどWiMAXのtry WiMAXして、Linuxから使おうと思って情報を見つけました^^。もしよかったら、Linuxのドライバ起こしてみようかと思いますので、情報交換お願いできませんか~^^。おそらくユーザアプリレベルでひとまず起こすことにはなると思いますが・・。
EAP-TTLSで使う認証ファイルはもろ
C:\Program Files\UQ\UD01SS\Certificationのなかのものになるのですか?nvramから抜く必要がありますか?よろしくお願いしますっ
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