週末に海外の見知らぬ人から「(俺の)sierra wirelessのHSDPAモデムがopenbsdで使えないんだけど」というメールが届いた。ちょうど他の作業で煮詰まっていたので息抜きに何通かメールをやりとりして、OpenBSDのumsm(4)で動くパッチを作ってみた。先方曰く「ちゃんと動いた!」と報告してくれたが、手元に無いデバイスなので不安は残る。ふと思い立ってgoogleするとSoftBankモバイルのC01SWはSierra wirelessのOEM製品らしい。周りを少し見渡すと持っている人が見つかったので、実際にためしてみた。
Tru-install
C01SWはsierra wirelessの「Tru-install」という機能を搭載している。これは、他の3Gモデムでもよくある「普段はUSBマスストレージのデバイスとしてみえて、そこにデバイスドライバがはいってる。そのデバイスドライバをつかってモデムモードに切り替える」という機能だ。windows以外ではあんまり便利ではないし、自分でモードを切り替えてあげないといけない。
Tru-installのモード変更方法
もうこの手の話は何回もしているので、簡潔にモード変更方法を書いておく。
- USB requestType = Write/Vendor/Device
- USB request = 0x0b
- USB request wValue, wIndex, wLength = 0x1, 0, 0
というコントロールリクエストをデバイスに送ると、デバイスがUSBバスから切り離されて再度認識されたときにはモデムデバイス+マスストレージデバイスの複合デバイスに変化している。上記に対応する関数を抜粋すると、こんな感じ。
#define TRUINSTALL_CHANGEMODE_REQUEST 0x0b
usbd_status
umsm_truinstall_changemode(usbd_device_handle dev)
{
usb_device_request_t req;
usbd_status err;
req.bmRequestType = UT_WRITE_VENDOR_DEVICE;
req.bRequest = TRUINSTALL_CHANGEMODE_REQUEST;
USETW(req.wValue, 0x1);
USETW(req.wIndex, 0);
USETW(req.wLength, 0);
err = usbd_do_request(dev, &req, 0);
if (err)
return (EIO);
return (0);
}
umsm.cに対する変更の全体はCVSで参照できる。
あと、OpenBSDではsys/dev/usb/usbdevsにこのデバイス用のProduct IDを追加しなければならなった。これは追ってコミットしておく。
C01SW概略
アタッチしてみてちょっと驚いたのはインターフェイスが7本出現したことだ。一般に3Gモデムは複数(2−3本)のインターフェイスを用意しているが7本出てきたのは初めてだった。
USBディスクリプタを見ると4-7本目のインターフェイスはインタラプトエンドポイントを含んでいるのでこれらのどれかが通信用のポートのはずだ。上から試してみたところ、4本目が通信用のポートだった。5−7本目のポートはエコーバックされないがATコマンドに反応しているので何らかの管理ポートだと推測される(詳細は見ていない)。
C01SWで通信する
OpenBSDのkernel ppp実装のpppdを使って通信を試みたところ、さっくりとつながった。
設定は昔「NetBSDでEmobile D02HWを使う(設定編)」で書いた物とほとんど同じで、
- ifconfig ppp0 create でpppインターフェイスを作る
- /etc/ppp/peers/に対応する設定ファイル(たとえばsoftbank )を作ってttyU3を通信ポートに設定する
- ソフトバンク用のユーザIDとパスワードを/etc/ppp/chap-secretに書いておく
だけだった。pppd call softbankだけでpppがつながって通信できた。
1 件のコメント:
DoCoMo の 前機種L-02AもC01SWと似たような構成でないですかね?
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